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秋の日

.16 2009 一滴の栄養の部屋 comment(3) trackback(0)



昼。よく晴れていた今日、出かけることにした。

ホームセンターで端材の木を70円で買ってから、海沿いの道に出た。

でも少し走ったら、早めに帰って木材を削って何かを作ろうと思っていた。

でも、それはいつものように叶わないんだけど。




私が夏の夜によく歩いていた海岸の道。塀の向こうに広くとられた歩き専用の道が伸びる。

この道路沿いは関東なのに椰子の木が植わってる。松でもいいのに。

観光客はこの道路のイメージを印象に残して、夏場にまた来ようと考えるのか。

なんとも微妙な風景だ。無理やり感が否めない。



この道路をずっと半島の下方へ向かって走ることにした。











道を相当走って、農道を挟んだ隙間の谷を降りていくと、小さな湾に出た。

ここは本当に小さな湾。

美しく遠くに立つ、木を茂らせた岩島が、昔のままの日本の面影を見せてくれる。

手前にある漁師のボート群。この湾には他の人が来る用事がないから、本当にこれだけ。

有料駐車場は50円だった。

いつもこの上の道を走っていて、どうやったらあの小さな入り江に行けるだろうと不思議に見ていた場所だった。










小さな入り江の上にある丘に立つ風車。

風速3Mから動くという。でも、風速3Mで回る、というわけではないよね。

この高さ50メートルを越えるのだ。







白い風車が青い青い空に手の平を広げるよう。







この丘の風車は小さい公園が付いている。そこには見晴らしのデッキと、ささやかなブランコがあった。







見晴らしのデッキから見た海。

この辺は段々の地形で、海も丘も全部ぽこぽこしている感じ。

一番左のこんもりした場所の裏が、さっきの小さな湾になる。

日本昔話みたいだ。









風車の丘を後にして、道をずっと下りていく。

長い道に車は殆ど走らない。 たまにすれ違うくらいだ。

暑いくらいまぶしい日の光にそこらかしこに光が跳ねる。


そして、私の好きな場所の一つ、干潟に出た。


この干潟は左側が海につながっていて、右手側は奥まで数百メートルの干潟になっている。



台風の後は沢山の背の高い草が折り重なって絨毯のようになっていた。

カモメの声と水面に群れを成すカモの影。

沢山あいた泥砂の穴にカニが走りこんでいた。


生臭いような、海草が腐ったような臭いと、海の潮の風が干潟に行き渡る。



干潟を撮りたかったけれど、手前のススキの群れに全く写真に写らない。

頭の中に残すことにして、しばらくそこを歩き回っていた。







この左側はバス停がある道路。

ここで眉間に皺を寄せたおじいさんに話しかけられた。



私は道端にしゃがみ込んでススキの中から生える別の草の実を取っていた。

夢中になって取っていたので、おじいさんが質問したくなったらしい。



おじいさんは地元の人ではなくて、ここの場所に来たは良いけどバスが1時間に1本しかないから仕方なく歩いている、と言う。

私に何を集めているのかと聞き、私が集めたものを見せると記憶を辿るように沈黙した。

「ああ・・・・・ 私は戦前の人間だから、そういえば昔、女の子がこれを集めていたなぁ・・・」

そう言っておじいさんは、「今日は失敗した日だから、良いことあって良かった。ここまで来た証拠に少し持ってくか」

と、幾つか実を摘んで、そのまま独り言を言いながら去っていった。


私は「お気をつけて!」と後姿に声をかけて、その後少しして帰路についた。




夕日が沈む前には戻ろうと思って、ぎりぎり日没10分前に家に着いた。


集めた実をどうしても自然光の中で撮りたかった。

今日は良い日だった。


心にも体にもお天道様の光をくぐった風が吹いていた。


その渡る風の中、夕焼けまで集めていた実。 おじいさんが「今は見なくなった」と呟いた実。




記憶と共に甦った昔日の夕焼け。

私小さい時、秋になったらこの数珠の実を夕焼けまでの時間、いっぱい集めて家に帰ったんだ。







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