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猫用小銭入れ・及びメモ入れ

.16 2009 未分類 comment(2) trackback(0)




変な名前だが、これにはちょっと流れがある。

顔をしかめる人がいそうだが、それもまあ仕方ない。猫はお使いに行く動物じゃないんだから。
しかめても当然だろう。

私もこの話を聞くまでは、きっとこんな名前のものが出ていたら「なに?」と思ったろう。

もう一つ、言い訳するなら。
これは実用じゃない。私はその話を聞いたというだけのことで作ったものだからだ。





ある猫の話。


この猫は野良猫だった。


メスの野良猫で、よくあるように、ご飯の時だけふらっと来る猫だったという。
猫の名前は忘れてしまった。

この猫はとても性格の良い猫で、ご飯をもらうと少し長居する。
そして、ご飯をくれる家の人に撫でさせたり、首輪をつけさせもした。


ここまで愛着が湧くと、家の人はすっかりこの猫を自分の家の猫、と思い込む。

だけど家族の内、おじいさんやおばあさんは気がついているのだ。
『他所の家でもご飯、もらってるよ。 だって愛想いいからねぇ』と。



その通り、この猫は愛想が良いので、どこへ行っても別の名前で呼ばれ、首輪も何の意味もない。

まあでも、こんなものだ。
思い込みは人の世の常だ。

思い込みと言い切れる理由に、この猫はちゃんと別の名で呼ばれたときも返事をしたのだという。


ここからだ。

この猫、ただの愛想好しではなかった。


ある日、首輪をつけた家の人は猫にいつものように食事を出す。
そこで「?」と気がつくのだ。彼女の首輪に何か挟まっている。

「なぁに、これ?」とお母さんが食事中の猫の首輪から紙を引っ張った。
家族が集まって、紙を見つめた。

手紙だった。


随分と達筆な手紙。便箋が一枚。
丁寧に折りたたまれて、猫の首輪に挟まっていた。

読んでみると、「首輪をつけた人へ」と始まる。この猫の飼い主だという人からだった。
ちょっと居心地が悪い雰囲気の家族。
でも続けて読んでみると、内容はこうだった。


『この猫は○○といいます。 いつも可愛がってくださって有難うございます・・・』

お礼から入った文章は、この実の飼い主が病気であることを知らせていた。
病気の老婦人、猫を満足に世話してやれず、寝たきりで困っていたという。
ある時から猫は出歩くようになり、どこかで食事をもらうようになった様子。
毛並みも艶よくなり、どうやら一人暮らしさながらにひょうひょうと世間を行き渡っている。

しばらくしてから、猫の首に首輪が付いた。

老婦人は首輪を見て、『ああ、この子を可愛がっている人がいる』と嬉しかったという。
それでも猫は、どこかで愛想好く食事をしては必ず毎晩戻って来る。

老婦人の家を自分の家と思って帰ってくる。
老婦人は、お食事代を出せないと申し訳ないからと、そういった手紙だった。
自分で行ければ良いのだけど体が動きませんので、猫に手紙を託しました・・・と結ばれている。


家族は話し合って、これまた猫の首輪に手紙をはさむことにした。

「猫の食事はたいしたことはない金額ですから気にしないで下さい。ご養生ください」

と、返事を書いて。


次の日猫はまた手紙を挟んでやってきた。今度はお札付き。

しっかりした老婦人は、猫を我が子のように育てていて、「いえいえ申し訳ありません」と。
お嫁に行くなら良いのですが、これでは食い逃げですから、ときまりが悪そう。

きちーんと千円札をくくりつけて、猫を送り出したのだ。


こんな感じでやり取りは猫の首輪に挟まりながら続く。

そのうち、容態を聞いたりする手紙も。
老婦人も、家の庭になる果物をお礼に渡したいとか、そんな文章も出てきた。


猫が運ぶのはあくまでメモの延長版。 たった一枚の便箋だ(たまに千円札)。

しかしこのささやかな手紙が人と人の穏やかな温もりの交流となる。



この話、結局どういったことになるかというと、猫の登場のおかげで人命が助かるという話。
人命、ってもちろん御婆さんのこと。老婦人は、具合が悪くなってしまって、助けが呼べない。
そんな老婦人の容態の変化は、いつも来るはずの手紙がないことで気つく。


変だね、といった家族が猫の首輪に手紙を挟むが、やはり返事はない。

もしかしたらまずいんじゃ、と、家族が猫の後を追うのだ。
猫は猫の道。 
苦労しながら、回り道やら、近所の家やらを通過して、ようやく老婦人の家に着く。


着いて時間はすでに夕暮れ。

あったことのない老婦人にどう言ったものかと思いながら、扉を叩く。
引き戸は鍵がかかっているが、猫は裏庭へ。 家族も裏へ回って、開いている窓から老婦人を見ると。

老婦人の息はあるが意識がない。

慌てて救急車を呼んで、そして老婦人は助かるのだ。



助かった老婦人の家は、その後、猫に首輪を付けた家族によって人が訪問する家となる。
ちょこちょこ様子を見にきては、子供たちが花を持ってきたり、学校の話をしたり。
老婦人もミカンや柿を持たせて、交流は続く。



と・・・ いう話を聞いた。



猫の縁、というべきか。

それで、ちょっとこんな小銭入れを作った。






猫の首に下がるくらいだから、小銭入れも小さめ。いや、本当に小さい。

裏側に付いた金具にするっと通しただけの「豚革リボン」。

実に軽いが、猫は嫌かもな。
こんなふうに、いかにも『運んで』といった作りじゃ。




猫のご縁の話でした。





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