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温もりを探しに

.16 2010 一人芝居の部屋 comment(2) trackback(-)




バス停で座っている猫。

誰かを待っているのか、座り続けて一方に顔を向けて。



ここは始発のバス停で、・・・それに、ここは寂れた漁港なんだよ。

それで、誰が乗ってくるわけでもないのに、バス停でこの猫はじっと座っていた。


猫は、毛も荒くボサボサで、口も半開きで、多分だけど目もよく見えていない。

この猫は年を取っている野良猫なのかなぁ、と思った。

野良猫なら、一体、誰を待っているのか。


始発では降りてくる人はいないから、きっと乗る人なのだろうけど。





この猫がバス停によたよたと歩いてくるのを私は見ていた。 

この近くにある、化石の地層を探していたからだ。

猫はゆっくりと漁港沿いの道路を歩いていて、少し歩くとすぐ疲れたように立ち止まった。

そしてまた歩き始める。

どこへ行くのかと思って見ていたら、何のことはない、数m先のバス停によじ登って腰を下ろした。


「へぇ・・・」と思って、バス停にしゃがんだ猫を見つめていたら、猫はチラッと私を見て、すぐに何もなかったように顔を戻した。

道路沿い、といっても車は全然通らない。

猫は安全だと知っているのだ。


『あんた、誰か待ってるの?』とちょっと声に出して言ってみた。

すると猫は、もう一度私を見て何度か目をしばたいて『なんだろう、コイツ』というようにあくびをした。



猫はじっと、バス停の石の上に乗って、バスの来る方向を見つめ続けていた。



静かな、ボサボサに毛の荒れた半開きの口の猫。

この猫に待ってもらっている誰か。


その人は、この猫から温かさを注がれる人だな、と思った。



この写真は、年末だったかな。

年の暮れで人影もまばらな道路、漁港にいたっては静まり返って、吹く風が冷たさを増すような日だった。



誰かが待っている。

誰かが会いたい、と思っている。


この、バス停に座る猫を見て、ふと心の中が温かい空気に満たされた。



私がその場を離れて、化石の地層を歩き回った後。

もう一度このバス停の前を通ったら、猫は丁度、バス停の石から降りたところだった。

バス停横の使われていない廃墟の前で、座って毛づくろいしていた。



誰も、側にはいなかった。

誰も、近くを歩いていった姿もなく。

猫はあれから1時間くらいいたと思われたけど、ずっと、誰も来なかったのかもしれない。




たまたま、こういうことが習慣化した猫なのか。

それとも今日だけ、誰かに会えずじまいだったのか。

もしかしたら、私が見ていなかった時間にとっくに誰かに撫でてもらったとか。


本当は、ただ単に、バス停の石に乗ってみた今日、というだけか。




猫を見ていて、そんなことを考えていた。

日陰の冷たい風の吹くアスファルトの上に座っている猫を見て。

1mずれたら、日が当たっているのに。





もしかして、


帰り道の車の中で考えていた。

もしかして、

誰かが猫に待ってもらっているのじゃなくて、

猫が誰かを待ちたかったのかな、と。



その違いは、針先ほどの違いにしか見えなくても。

待っている誰かがいないのではなく、会いに来る誰かがいないという。





本当のことなんて分からないけど、

この猫のことが時々、頭をかすめる。


誰もこないと知っていて待っていたのだとしたら。


あの猫は温もりを知っているんだなと思った。

それが、どれほど大きな幸福か。

そして、どれほどささやかな一瞬でもたらされるか。







寒い日だった。

鳥のスープストックにミルクを混ぜて、パセリとオレガノを刻んで煮たスープを作った。

塩は抜くから、バス停猫にも分けたいなぁと思った。


何を話すでもないだろうけど、友達になれたらいいなと思って。










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