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行く川

.19 2010 一人芝居の部屋 comment(2) trackback(-)




ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくの如し。



方丈記の出だしを思い出した。

これを書いた長明さんも、読んで覚えた数多くの人も、同じ人間で同じことを心に思うのだろう。




ふといろんなことが過ぎる時がある。
私の場合は、良い思い出が極端に少ないため、大体苦い記憶が甦るのだが。

その苦味に慣れることはないが、このところは解釈をするようになった。


過去はどうやったって、消せもしなければ変えられもしないのだ。
だから、

そう、「だから」と続ける解釈。

今生きている時間を確かな意志と行動で紡いでいかなければ、と。
そう、解釈するようになった。
逃げではない。だって事実、これより他できないのだから。





今日、長く会っていなかった人達と会った。
それは妙な感じだったが、世間から離れて毎日を生きている私にとって、誰と顔を合わせてもこうなるのだろうと思った。
自分がすごく遠くにいる感じだ。
体は自分の思うことを話したり、手振りがまじったりするのに、自分の中身はどこか遠くに置き忘れてきた感じ。


人と離れて暮らしていると、こうした感覚が生まれてくるものなのかも。

誰と話していても、『ああ、ここは私には不自然なんだ』と頭にこだまする。
笑ってみても、冗談を言ってみても、近況の話をしているだけでも、空蝉のよう。

だから少しだけ、現実味を混ぜておこうと思った。

どうせこうなるんじゃないかと予想はしていた。 
それで出掛けに携えた紙袋に入れて持ってきた二組の革と、糸のついた針。
会って話していた人達にそれを渡して、縫ってみたらどうか、と持ちかけた。


過去に関わった人たちが、もう現在の自分の場所と随分離れていると分かっても、今こうして顔を見たのも一瞬の関わりと刻めるように。
私の変化した人生のほんのちょっとを伝えておこうと思った。

渡した革は、もう形も縫い目もある状態で、後は縫うだけ。
それも布を縫う並み縫いで、1本針で縫うだけ。
縫いあがると小さい袋が出来上がる。 それに紐を通してビーズを付けるのみ。













それでも革を縫うというのが初めての人たちは、始めこそ喋ってあれこれ訊いてきたけど、少しするとすぐに夢中になって縫い続けた。

ビーズを通して完成した簡素な革の袋を見て、嬉しそうに笑っていた。
縫うのって時間かかるんだね、と笑い、『あ~疲れた~・・』と針を放した。


一人に『いつもこんなことしているの?』と訊かれて、『もっと地味だよ』と答えた。



巾着一つで無言の時間が流れているのに、毎日巾着以上に手間取るものを作って年月が過ぎる。
どれだけ無言の時間がとうとうと流れ続けていることか。
それを選んだ自分がいて、対面した人たちに距離を置いた理由がそこにあって。


その後私は短い時間を過ごして、じゃあねと手を振って帰った。
また季節が変わったら会うのかもしれないし、会わないかもしれない人達にお別れをして。





行く川の流れに立ってみて、ふと見やった水の行き先。
私が過去に見た水は、今じゃとっくにどこかに流れ出ているのだ。

それは常に、常に流れ続けている。






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