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その意味

.23 2009 未分類 comment(2) trackback(0)



黒曜石で色々なことを思い出す自分がいる。

黒曜石を持ってきてから4日目だ。思い出は記憶の沼のそこから浮上してくるよう。



長い話しを聞きたくない方のために、見て分かる程度の作りだけど、説明だけしておこう。

左のは豚の革。言い方をイメージよくできるなら『スウェード』。
まぁ、どちらにしろ豚だ。
柔かく、布のようで、まるで滑り落ちるようなしなやかな革。

長さは48cm。短めの、・・・原始的な見た目。

右のものは、牛革。水でしごいて乾してから、骨の油を擦り込んだ。
縛ってある糸は麻。普通に。

ぎゅっとずらせば石は取れるが、普段の動きで石が落ちることはない。
その為に水につけた。




ここからは思い出の話し。

秋の夜は長いのだ。 このブログを読んでいる人の中に南半球の人がいたら『秋』ではないけれど。
私のいる国は『秋』。


黒曜石が直に思い出に手をさし伸ばしたわけではなくて、こういう石の記憶がある。



何年か前、草原にある女が倒れていた。

その草原で狩りをする部族が女を見つけ、倒れて意識のない女を連れて帰った。
女は数日後に目を開けて、驚いた。

部族は女に質問をしたが、言葉も通じず、種類も異なる。
女も当惑していたが、さらに女を悩ませる問題があった。

女は記憶がなかった。

自分がどうやってその場所まで来たのか、その以前も分からずじまい、まして自分さえ。
部族は女を受け入れて、女の居る場所を作ってやった。


そして、自分を知らない女に名前をつけてやった。
それからその女は部族の名で呼ばれる日々になった。

少しずつ女は部族に馴染み、言葉を片言で理解できるようになり、身振り手振り意思の疎通が出来るようになっていった。
女は部族の女達に仕事を教えてもらい、男の狩りに連れて行ってもらって狩りを知った。


だが、女は旅立つ日が来る。
時折甦る記憶のいたずらで、女は自分のことを取り戻しに行こうと決めた。

部族は悲しんで、別れの日が来て、そして女は旅に出た。

途切れ途切れのほつれた記憶を手繰り寄せながら。



旅に出た女は記憶の紐を手繰り寄せて、自分が何処の出身でどんな人間かを少しずつ組み立てていった。

歳月は流れ、そのたびの途中、幾度となく助けられ、幾度となく理由ない攻撃を受け、騙され、もてなされ、利用され、信頼された。

しかし女の旅の道中が全て、山あり谷ありの繰り返しだったわけでもない。

ある港の町でであった二人連れ。
一人は大男、一人は子供。
その二人と同じ船に居た時は2ヶ月ほど。居心地の良い連帯感を久しぶりに感じていた時間だった。


この二人とは、通りすがりではない他人だった。
ほんの2ヶ月、気を許してよい家族観を見ることが出来たからだ。


その大男は子供の保護者だったが、不思議なことに、子供は導きの役割があるという。
ここには世界中のお伽噺の集約があるが、ここで話すことでもない。

とにかく、この二人は興味深い旅の道連れだった。

その時の大男が首に下げていた石。
それが二人連れの理由になっているという。
二人はその石によって巡り会い、ちぐはぐなお互いを知り、目的の地へ旅に出たのだ。


首から下げていた大きな石を、

今もひょんなことで思い出す。


二人連れの旅の友に名を訊かれた女は、自分の名を知らない、と答えた。
でも、もらった名前ならある、と加え、その名前で呼ぶように話した。


大男は名の意味を訊いた。
子供は名をつけた部族を訊いた。


女は「名の意味は『たった一つの』という意味だ」と答え、
部族の名も話したが、今は誰も近づけない場所に生きている少数の部族だと逆に説明された。



女はそのまま旅を続け、船を降りてボロボロの雑巾のような記憶のパズルを地図に、さまよった。

どのくらい経ったか。


女は自分をほとんど思い出し、そして、辿りついた場所で生き始める。

今も、その女は部族に居た頃に教えてもらった日常の仕事を作って、自分色を加えて、生きている。





なんてことを、随分前に。

そんな話があったなぁと思って。






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comment

Kinu
記憶が消えるということは
一体どんな状態になるのだろう・・・と
今日何度も考えたりしています。
記憶が消えるということは
自分の今まで生きてきた過程がなくなること、
抱えてきた思い出がなくなること、
知識は・・?
自分の性別さえも・・・?

ボロボロの雑巾のような記憶のパズルを頼りに
自分を見つける放浪をするというのはすごいですね。

黒曜石に秘められたミステリーなパワー、
あるように感じます。
太古から使われてきた石、
何かが凝縮されて石になっている・・・
石に魅力を感じるのは
そこにあるのではないか、と思ったりしています。

消えた記憶が突然蘇ることがあると
どこかで知ったような気がします。
脳の中の記憶への回路が切れてしまうのでしょうか。
でも記憶のチップのなかには
きちんとファイルは残っているのでしょうか。
脳のことを思うとき
どうしてもコンピューターを想像してしまいます。

このお話、異国の雰囲気がありますね。
ダンス ウィズ ウルヴズのような・・・

きちんとお話をきいていないような
自分を感じます。
このお話を聞いていると、
想像があっちこっちに飛んでしまうのでした。

偶然ですが、私の友人に娘さんの名前を
「たったひとつの」
という意味の名前をつけた人がいます。
2009.09.24 04:39
ea
kinuさん

黒曜石三昧です(笑) 
もう、飽きてこられた方も多いかも!

でも、kinuさんのコメントのように、黒曜石に限らずに石は深い魅力がありますね。
思えば、石はその姿になるまでに一体どれほどの時を経ているのかと。

道端の石ころでさえ、「石ころ」と呼ぶのは大層失礼かもしれないですね!

記憶が消えることですか。

残念ながら、チップほどの精密さで思い出せはしないようです。
混ざって出てきたり、歪んで思い出したり、本当は心のうちに隠していた強い印象のところだけがフラッシュバックしたり。

だから、記憶を辿る作業は正確な一部分でもないみたいで。

・・・わかりません。
それも人によりけりなのでしょうか?

この「女」は、ダンス ウィズ ウルヴズ状態だったと思います。
まるで見た目も違う相手に支えられていたから。

ただ、そのあまりにも「無」状態の女を哀れんで、部族の長は名前をくれたんです。
「お前は『たった一つの』存在だ」って。
2009.09.24 07:59

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