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出会い

.18 2008 革の部屋 Leather comment(0) trackback(0)

羊の革ではなく、これは牛の革。昨日、羊の革を傍らに、このシュリンクの革に一生懸命だった。


先週の金曜日、初めて出会った人がいる。
おかしな感じだが、その人とは以前からやり取りがあったから、妙な緊張だった。
出会う、とはいつを指すのだろう?

顔を見るのは初めてだった。
その人に会う1分前くらいには具合が悪くなりかけたくらい、緊張した。
緊張の汗の中、ドアを開けると、その人はすぐに私に笑いかけて名前を呼んでくれた。私は「はい!」と答えるので精一杯だった。

この人が、私の革仕事のきっかけになった職人さんだった。

2時間半の短い時間の中で、いろいろな話をした気がした。
いずれ、機があればまた会えるのだろうが、帰るには後ろ髪を引かれる思いだった。

誰にでも尊敬する人や、目指してゆく地点があると思う。
私にもそれはあって、この人がその位置に立ってくれている。
話せば話すほど、一言のもたらす雨露の響きが染みていた。

この人がその時に腰に付けていた、彼いわく『エプロンポーチ』(ウエストポーチ)が牛シュリンクで出来ていた。
きっとシュリンクの逞しそうな風合いが好きなんだろうな、と思った。

この人は革が大好きで、全てを独学で貫いた。
革を出来るだけ、使いきりたい。彼はそう話していた。
傷も穴も、染色ムラもデザインで、革の個性で、一枚の革を大切に使いきること。
大量生産で不可能な分野の作品を作り続けていくこと。
『野性』があること。

そして、食肉の副産物の革に、動物たちへの感謝を常に忘れないこと。

彼は春でも来そうな笑顔で、それを形にした作品群の前で話した。


その彼の作品の中で、あるバッグを手にとって見せてくれた。
「これね、2枚の革を重ねてあるだけなんだよ。」
手にとって近くで見せてもらったバッグは、胴体が2枚の革だけでマチ部分の革がなかった。ふっくらした丸みのある胴体の縫い目をさして、説明してくれた。
「こうしてね、ぎゅっと糸を引くと革がよるでしょう?マチなんか要らないんだよね。本当はこんな風にしてもマチが出来るんだからさ」
丁寧に手で縫われた縫製のあとをなぞって、何か伝えたげに教えてくれた。

私の作る未熟な出来栄えの作品を、笑顔で面白そうに見ていてくれた。
私は『極力、手を込ませたくない』と話すと、彼もまた頷いた。
『出来るだけ、革のまんまであって欲しいんです。特別なツールややり方を駆使して作るんじゃなくて、自然で、要らないところがないようにしたいんです。』
常に私がそう考えていることを聞いて、その人は柔らかい笑顔で「そうだねぇ」と何度も頷いていた。
彼は、工房を立ち上げた時から、そうやって続けてきた人だから。

それでも、端材が出てしまう。
使い切りたくても、使い切れない端材がでる。
だから、私がその端材を小さなものに変えて、もっと使い切りたい。

大事に大事に使うことを毎日繰り返す。
それをし続けることは、自分だけでは生きられない世界だから大変なことだ。
でも、この職人はその大変さを選んで生きている。
私はこうやって生きてきた人に会えて、本当に幸せだと感じた。

黒いシュリンクで、革の紐を引きながらマチを作った小さなバッグ。
大切に、素朴に。
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