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黒い魚

.06 2010 革の部屋 Leather comment(2) trackback(-)





真っ黒な魚。

魚は初めて作るわけじゃないけど、今日みたいな雰囲気は初めて。

スメルトの時や革魚の時は、まるで形も雰囲気も違うものだった。
二つとも可愛い感じにしたかったから、簡素に作ることと、玩具のような見た目が欲しかった。



今日の黒い魚。

これは可愛い雰囲気はなし。
どれくらい、魚らしくなるか。 どれくらい、動き出しそうに見えるか。

重点を置いたのは、「魚」であることだった。













どんなものでも、本物に近づける時、ものすごく本物のようにしたいわけじゃない。


いつもそう思っているけど、革であることが分からないようなものなんか作りたくない。
革のまんまで、作りたい。

革の質感。元から染色された色。革の表面、硬さ、性質。
そういうものは出来るだけ手を出さないように、作ろうと思っている。

後から色を塗って仕上げるとか、硬化剤でがちがちにするとか、そういうことは避けている。
こういうことがしたいなら、別に革を使わなくてもいいだろうと思うからだ。
革以外の用途に向く素材を使って作ればいいだけだ。


既に加工されている革だから、これ以上はあまり余計なことをしないで作りたい。



本物に近く、というのは人それぞれ受け取り方があると思う。
私の中では絵もそうだけど、『本物みたいな』というのは、写真みたいという意味ではない。
絵で言えば、写真のように描ける腕は素晴らしいが、写真で事足りる。

どこから見ても筆の跡や大まかに混ざる絵の具が塗られている絵なのに、
どうしてか本物のよう、というのが私の中の『本物みたいな』空気が感じられるもの。

これは様々な素材の作品に共通してある。


本物のよう、という言葉でいつも思い出すことがある。

昔、全く荒削りの仏像を見て、心臓が早鐘を打つような驚きを得た時も理由は同じだった。
なぜか、本物に思えたのだ。

立った一本の、のみで削りだされた子供くらいの大きさの仏像は、色も付いていないし削ったまま。
それでもその仏像は、金箔で巻かれた細部に技が唸る数百万円の仏像より、本物に見えた。




・・・・・相当、話が飛んでしまった。

こんな凄い話と並べるようなものではない私の黒魚の話だったのに。

ぐっと手前に話を戻して、「魚」をどういう意味で魚に近づけたかったかを書きたかった。
息をしているような、そういうものを作りたかった。

水に落としたら鰭が動いて鰓が呼吸し始めるような、泳いで水の中に消えてしまうような、
そんな魚にしたかった。




今年に入って、そろそろ作ろうかと目論んでいることがある。

この黒い魚はその目論みの試し。
出来によって、目論んでいる相手を作れそうかどうか。



黒い魚は8割くらいは、予想通りになった。

楽しくなってきた。













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comment

Kinu
Eaさんこんばんは。
あ、もう御地は日曜日にはいってしまいました。
当地は土曜日の朝です。
昨日、今日と本当に嬉しいお天気で
特別な日でもないのに気持ちが高揚しています。

黒い魚、見事な魚ができました。
一番したの魚は本当に水の中で泳いでいるようです。
Eaさんの書かれている文を読みながら
深く頷きました。
私もずっとずっと何かを作りたいと
思ってきていたのですが
やっとその何かがみつかったところで
少しずつ何かを作り始めました。

そして作りながらちょうどEaさんが
今回お話したようなことを思っていたのでした。
ちょっとニュアンスが異なるかもしれませんが、
なんて説明したらよいか今言葉をさがしています・・・

例えば猫を飼っていますが、
彼らと過ごす日々の中で
彼らのいろいろな動作にふれています。
それが私の中にイメージとしてとりこまれて
そのイメージが手につたわって作られる・・・
そんな感じでしょうか・・・
ですからアニメーションのキャラクターではなく、
目にとまったものが私の中に入って
形になって出てくる。
作りながらイメージが変わることもありえるわけで、
その意外性に思わず笑ったりしてしまいます。

Eaさんはアーテイステイックな才能が豊富、
ですから作品もやはり迫力があります。
魚のくちもと、参りました。

自然界あるいはイメージ中の自然界から
作品が生まれることになりますが、
そうなりますとますます地面にしゃがみこんだり
ボーっとしながらどこかを見つめたり
そんな行動が増えてきますね。

Eaさんの目論み、果たして何か!
ドキドキしながら楽しみにしています。
2010.03.07 00:49
ea
Kinuさんも、ものを作ることが始まったのですね。
これまで温めて来た、たくさんのイメージがこれから誕生しますね
Kinuさんは自然に目を向けて、よく観察する人。
毎日、そして何年も続けて、四季と自然を見つめています。
そこから多くの豊かな実りが得られますね。
是非、自由に作って楽しんで下さい。

Kinuさんのブログにあった写真。
猫と小鳥。そしてベア。
とても可愛らしい印象です。色や雰囲気がみんな温かい。
ウールという素材がそういう印象を強めるのかもしれませんが、
もし私がウールを使っても、きっと可愛くは仕上がらないです
使う人が使ってこそ。
素材は人を選びますし、人は素材を探すのですね。

Kinuさんの作品は特徴のよく出ている作品。
そういう感じがしました。
人の持つイメージは、当然一律ではないですが、
それでも、言葉にはならない認識がイメージには含まれていると思います。
Kinuさんの作りにはそうした感覚が籠っている気がします。

特徴は見た目に大きく出ているものもいますが、
動きや雰囲気やその対象の在り方のほうが特徴を持つことがあります。


Kinuさんの猫。
オレンジ色の眠る猫を見た時に、『ああ、こういう猫いる!』と
三毛猫の茶が、もっと明るくオレンジ色になって身体を包んでいる猫。
子供の頃に近所にいた猫を思い出しました。

こうした猫を作る人は少ないです。
だから本当に、本物の猫の印象が強まります。

ああして(作品のように)目を細めて、
腕に顔を乗せて、足が頭にくっ付くくらい身体を丸めて。
いつ見ても気持ち良さそうに眠る猫。
もう一頭の猫も本当に「猫」。 そのものです。
尻尾が短いのですね。日本猫にはよく見る尻尾です。
長い間猫と暮らすKinuさんだから出来た作品です。
本当に素晴らしい出来です。

小鳥も可愛い。冬の寒さに体がふっくらしていて、
人のほうは向かない頭。でも気配は敏感です。
小鳥はこちらを見向きもしない、というイメージがあるので
作品の薄青い小鳥は、生き物としての特徴がすっかり揃っています。

ベアもそうですね。
縫いぐるみとしての印象がつよくある、テディ・ベア。
腕や足のつけ方、顔の特徴、座り方、かわいいという印象の持つ色合い。
全てが整っています。

特徴というのは作品を大きく変えます。
私はよくその部分で時間を使います。
そっくり、という本当の意味があるかどうか。
Kinuさんの作品は3点ともありました。
これからの作品、とても楽しみにしています。



私の目論み、
かなりの日数がかかるのです。
でも始めます。完成する時はここに登場する時です
2010.03.07 10:33

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