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道しるべの人

.12 2010 一滴の栄養の部屋 comment(4) trackback(-)





未だ覚めやらぬ午後の一時。 
今は家に戻ってこれを書いているけど、やっぱり頭は別のことでいっぱい。

白昼夢の後のようだ。



上の写真は、私が今日会った人の作ったバッグ。

その人が、私に端革を送ってくれる職人さん。
野趣の強い、旅の香りが漂う、古いヨーロッパのイメージのようなバッグを作る。

荒野や乾いた岩場を歩き回って、スペインの田舎の宿で身を休めるような人。
どこも気取らないし、何も裏のない人。
春が来たような笑顔で笑うし、得意な話になると子供のようにはしゃいで話す人。


早い話が、素晴らしく素敵な人物だ、という意味。


私がこの職人さんと顔を合わせたのは2回目。
緊張するけど、緊張半分と嬉しさ半分で何が何だか分からなくなる。



横浜にあるかわいいギャラリーで彼は個展だったので、午後にお邪魔して2時間くらい過ごした。

このギャラリーの店主も気さくな屈託ない人で、このこじんまりしたギャラリーは居心地良い寛ぎの空気で満たされている。
センスの良い作品の並べ方で、小さいとはいえ美術館のようなギャラリー。

普段は焼き物や織物が顔の棚にも机にも、今日は職人さんのバッグが所狭しと並んでいた。









大きな板の机に置かれた、職人さん本人のバッグ(真ん中)と作品のペンケース(写真左側・手前)。

周りにある細々したものは、私が持っていった今までの作品・・・ 一緒に置くんじゃなかった・・・



私は『送って頂いた端材で、こんなものが作れました』と見せたかったから、着くなり職人さんに作品を渡した。
すると、職人さんは面白がってくれて、次々に机に置いていった。

ギャラリーに来ていたお客さんや店主の人に、『ね、これ見て、彼女が作ったんだよ』と見せてくれて、何とも恥ずかしくて照れ臭くて。


でも嬉しい気持ちが胸いっぱいになる。

何が一番嬉しい、って、労ってくれる言葉。
『こういうところ、縫うの大変でしょう』と縫い目を見ながら呟いてくれたり、『質感がいいよ』とじっくり触って見てくれたり。

もう、これは本当に、有難い。
逆立ちしても敵わない人が、自分の作ったものの余りで出来た、私の作品を一つ一つ見ながらそう言ってくれるのだ。

頑張って良かった~!!と思う瞬間だ。


職人さんは大きな凄いカメラを持つと、黒い魚と犬の指人形の写真を撮ってくれていた。

職人さんの友達の人もやって来て、その人も黒い魚を写真に撮ったり、骨付き肉を面白そうに触ったり、
羽やキノコを見て楽しんでくれた。
じゃあ私も、と、私も職人さんのバッグを写真に撮らせてもらった。








こんな格好良いバッグを作ってしまう人です。







この一升瓶用(?)のバッグ、初めて見た時から欲しいと思ってしまう人は多い。
おそろしく厚い革で強固に作られた、何ともタフなバッグ。

右側にあるハンドバッグみたいなのも作ってしまうし、本当に何でも作れる人。
このもう少し右側には、ドクター・バッグもある。

どのバッグを見ても格好良いし、どのバッグにも息づかいがある。



大好きなマカロニ・ウエスタンと革細工の両方を、一途に真っ直ぐ人生に選んできた人。

この人と話していると、なんて良い顔して笑うんだろうなぁ、とつられて笑っている自分がいる。
50代の職人さん。
いろんなことを越えてきたのだ。それでも好きなことと大切なことを抱きしめて生きてきた。

あの笑顔は、そんな彼の生き方の垣間見える笑顔なんだと思った。



私は帰り際、職人さんと彼の友達の人と店主の人に、私の作ったものを一つずつ選んでもらった。


店主の人は迷いもなく、薄いブルーのベビーシューズ。

職人さんは『う~ん』と迷ってから、ドラゴンの翼。(犬の指人形とどちらにしようか考えていた)

職人さんの友達は、小さな白い点々のある赤いキノコ。



それではまた会う日まで!と挨拶をして、ありがとうございましたと何度も言って、名残惜しいけどお別れをした。



帰り道、画家の車で来ていたので、画家と話しながら戻った。
画家は実はずっとギャラリーにいたけど、ほとんど喋らなかった。

彼は焼き物でとっても気に入ったものを見つけていて、終始焼き物を見つめていた。
でも古い古い手動のコーヒー・ミル(1950年のフランスの)も非常に欲しかったようでじっとなにやら考えていたのだ。

結局、買い求めることはしないで帰ることになったけど、随分観察したお蔭で細かいところまで記憶していた。


車の中で、画家の気に入った焼き物の話と、私の革の話が交互に続いて、いつまでも感動が離れなかった。




そして。

日もとっぷり暮れてからようやく家に着き、待っていた第二の時間になる。

職人さんは私にお土産を持ってきてくれていたのだ。
総重量14~15kgはありそうな、大きなビニール袋に詰まった端革を。



開けてみて、おおはしゃぎ。大喜びの声が止まらなかった。

職人さんはここにはいないけど、何度も『ありがとう~!』とこぼれてくる。
今まで見たことのない革も入っているし、使い慣れた革も入っている。

毛が付いたのもあれば、馬房にあるような逞しい革もある。
色の付いたものもあるし、焼印が押された部分もある。もう、様々な革が溢れている。

積まれた革を手に取りながら、いろんな気持ちが私の中に生まれてくる。

そして、革を見つめて思う。



いつか。

いつか、あの人みたいに成れるように。

あんなふうに、自分の生きてきた道のりを笑顔にした時に、とっても良い顔で笑えるように。





明日っから、また頑張ろう、といつになく張り切って思った。






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comment

Kinu
Eaさんの興奮がとてもよく伝わってきました。
職人さんと素晴らしい時を過ごされたようす
本当によかったですね。
職人さんの作品、異国の香りを感じます。
そして作風に職人さんの世界を感じます。
おおらかさと繊細さの共存・・・
作品を載せてくださってありがとうございます。

Eaさんの道しるべ。
明確な道しるべが或る限り
道に迷うことはないと思います。

黒い犬、そして魚に
興味が集まったとのこと、わかります。
そうでしたか、職人さん、
ドラゴンの翼を選びましたか。
Eaさん嬉しかったでしょう。

たくさんの端革のお土産、
よかったですね。
Eaさんのなかで
たくさんの思いが膨らんでいくのを
感じています。
どんな作品が生まれていくか、
楽しみにしています。

今日は気温は低いのですが、
見事な空です。
青空に浮かぶ雲が
あまりに素晴らしく
車を運転しながらどうも空にめがいって・・・
あぶない、あぶないと思いながら運転しました。
今日は空を見る時間が多くなりそうです。

Eaさんは今素敵な夢を見ている頃・・・
2010.03.13 02:52
ea
『野性』を制作テーマとして、革の持つ特質を十二分に引出すこと。

キズ、穴、染色むらなどもデザインとして生かし、
一枚の革を大切に扱い、十二分に使いきること。

デザイン的、技術的に、既製品や大量生産品では
生産不可能な分野の作品を作り続けていくこと。

食肉の副産物と言えども、動物達への感謝を常に忘れないこと。


これが、職人さんがテーマとして挙げている言葉です。
私は彼の紹介にあったこの言葉を読んで、深く感銘を受けました。

初めて自宅にパソコンを繋いだ日です。
その日に初めて検索したのは羊肉のこと(笑)
もう一つは、野性味の強い革のバッグです。
それまで私は自分に合うバッグを見つけることが出来なかったから。
検索も初めてで、よく分からないまま、ずっと調べ続けました。
それでようやく、『あれ?ここはどうだろう?』と。
それが、この職人さんの紹介のページだったのです

私と同じことを考えている人がいる!と知り、
それにもうずっと、何十年も前から私のやりたかったことをしていて、
彼の作品はどれも全て言葉どおりに表現されていて・・・
彼の作品を見たときに、何としてでも感動の言葉を伝えたい、と思いました

そして交流が始まったのです
今思えば、これが私の運命の岐路だったんですね。


今日は、ごちゃ混ぜに入る宝物の分類です
今回の革は牛・豚・山羊・羊が殆どです。
何を作ろうか、始終笑顔で独り言と相談です。

Kinuさん、御地は晴天だったのですね。
美しい空を見ながら走っていた道はナッチェス・トレースだったでしょうか
春の庭も更に眩しく輝いたことでしょう。
夜、月が出ると良いですね!

素敵な月夜でありますように。



2010.03.13 09:30
Kinu
Eaさんはまだ興奮さめあらず、
といった雰囲気ではないでしょうか。
御地はもう日曜日の朝、
お日様マークがでていますので
きっとよいお天気の朝を迎えていらっしゃるでしょう。

当地は曇り時々晴れのお天気でした、
そしてかなり寒い一日でした。
昨日一昨日疾走していた春が
今日はペースを大分落としたと思います。

再び道しるべの方の作品をじっくり拝見。
皮の素材がとてもいかされていますね。
私がバッグを選ぶときの条件は、
大きさ(小さめ)、そして
ストラップと本体のつなぎ目、
あけ口が頑丈であること。
長く付き合いたいので
頑丈であることは絶対条件。
道しるべの方の作品を拝見して
しっかりつくられているな、と。

一番目と三番目のバッグに
とても魅力を感じています。
Eaさんも気に入られているのでは。

明日から夏時間、
さっき家中の時計を1時間すすませました。
日本との時差は14時間となります。
明日の朝はきっと眠い・・・

よい一日を。
2010.03.14 11:44
ea
彼の作風は何となく古びた風合いが絶妙なのです。
それは誰もがそう感じるようです。
郷愁のような感覚、ざっくばらんな雰囲気。
なかなかこうした風合いを醸し出すものは会えないもの。
そこに人は惹き寄せられていくのでしょうね。

でも彼は満足していないよう。
私の作品を見て、最近ぽつりぽつりと言うことがあります。
『私だって本当は機能的なのなんか作りたくない』と。
本当はもっと自由なものを作りたいし、もっと好きに作りたい、って言うのです。
でもそこに続けて出る言葉があり、
『でもね、食べてけないからね。家族がいるからね』という言葉。

私は『そうですね』と小声で答えるしか出来ません。
私は何もかも捨てて、今の物作りを選んだから
自由に作るためには常識はずれな犠牲を選ばないと出来ないし、
好きなこと(革)に触れながら生活するためには折れねば出来ません。

私と職人さんは、物作りという立場では同じですが、
その作品の在り方を生きる道に重ねた時、
全く逆側にいるのです。

年間一人で350~400個のバッグを作る職人さんですが、
先日会った時に『もう飽きちゃった』と小さい声で笑っていました。

制作の自由を選ぶ不自由な生活。
自由な生活を選ぶ不自由な制作。

彼のバッグの並ぶ部屋で、言葉が出てこない数分がありました。
彼の全てを支え続けてきたバッグの静かさ。
もしかすると、そういう職人さんの心もまた、
バッグには籠められながら完成していくのかもしれません。

Kinuさんは二つも魅力的なバッグがあったのですね。
彼のバッグは頑丈で重くて強い、大体において大きいものです。
小さいものもありましたが、どれであってもしっかりした作り。

私も彼の作るバッグで二つ、あるのです。
そのバッグたちは彼の古い作品なのですが、
今も彼の工房にあるのかもしれません。
いつか買いたいと思いながら、もう何年も経ってしまいました
二つとも、旅人の持つようなバッグです。


Kinuさんの明日はもう夏時間なのですね。
すると初めてコメントを頂いた頃と同じ時間差ですね。
今頃ぐっすり眠っていらっしゃいますように。

目覚めて眠気が残っていないくらい、良い眠りでありますよう

2010.03.14 17:40

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