スポンサーサイト

.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

魔法の七里靴

.21 2010 革の部屋 Leather comment(4) trackback(-)
magicboots.jpg



昨日の boots1.jpg に比べると若干、くたびれた感が上がった長靴。

つやつやしたのも良いと思うが、個人的にはこういった風合いのほうが好き。


これでようやく、市場で見落としがちな『古ぼけた長靴』になった。





magicboots2.jpg


アラジンの魔法のランプにせよ、空飛ぶ絨毯にせよ・・・
ただの豆だったジャックの豆も、粉引き小屋の猫1匹も。

普通は相手にもされない幸福へ扉は、今も誰かのすぐ側にあるのかもしれない。



いつだったか。

誰かが興味深いことを言っていた。

魔法の品々を受け取るのは何となく後ろめたい、と。
もし自分なら、それを何も努力していないのに受け取っていいのかどうか、という意味で。
なるほど、と思ったのを思い出す。

ただ、努力や生き方は、人の目には映らない。
自分の目に映るものはその結果の見える状態の物事だけだ。
他人の目にはもっと不安定なものかもしれない。

自分で卑下していても、他人に軽んじられていても、
その人それぞれの、真剣な純粋な善良な一生懸命は見えないときのほうが多い。

こうした見えない真実を、運命が見ていてくれたなら・・・



この七里靴はそういう意味ならどうだろう。

影をなくした男の話の主人公・ペーターは、散々な目に遭いながら人生の殆どを過ごした。
それは、彼もちゃんと分かっている、軽はずみな行動の罰だった。
その罰は、彼の人生を狂わし、彼の存在さえも問い続けた。

幾度となく、後悔の相手の悪魔は姿を現すが、
取引をやめたいと頼んでも断られるだけ。
元通り、影を戻したいのなら、じゃあ今度はあなたの死後の魂を交換に、と悪魔は笑う。


それは嫌だ、と断るペーターに悪魔は続けて言う。

『ではおたずねしますが、あなたの魂とやらはいかなるシロモノですかな。
 ご自分の目でごらんになったことがおありですか?
 あの世に行ってから、そいつを元手に何かを始めるおつもりですか。
  
 むしろ、生あるうちに、魂といわれるわけのわからんシロモノ、
 電動力とも分極作用とも、何ともえたいの知れぬ講釈つきのシロモノと現実のものと
 取り替えておくほうが、よほど利口ではありませんか。』

なんてこと言うんだ、とは思わなくて良い。この方、悪魔だから。


こんなことを言われても、勿論ペーターは『二度と姿を現すな!』と金貨袋を投げ返して断る。

その後の彼の人生はしばらくの間、やはり辛いのだが。
それもこれも自分の一度の軽はずみから生じた恐ろしい罰だと涙ながらに受け入れている。


こんなペーターに、神様は慈悲をかけたのか。

何の希望も持てない放浪の旅の途中で、七里靴を買うことになる。
七里靴のおかげで、罰せられた長かった時間は終わり、彼はひたむきに生きる。
それは人との交流までは出来ないまでも(影はないまま)、
生きていることに感謝を感じながら過ぎてゆく日々だ。


と、こういう経緯であれば魔法の品も受け取って良いものか、と私は思う。
 


人によって『魔法の品』は違うけれど、
きっと誰の人生にも一度は訪れるんじゃないかなぁ、と考えてしまう。

よく使うも、わるく使うも、当人次第。
魔法の品なんて望んだって目の前に出て来やしない。
願ったところで探したところで、そんなにうっかり手に入れられるものではない。
ましてお金を出せば買える店があるわけでもない。

こういう魔法の品々がもしも目の前に現れたなら。
それは自分自身が受け取るべき時を迎えた、ということだろう。


そしてどう使うかは、まさに運命を自分で決める時なのだろう。





magicboots3.jpg


スポンサーサイト

comment

ea
クランベリーソースさん 

歩き方が違うための靴底の減り・・・
そうなんですよね~(笑) 
私それに気付いて、気をつけて歩いてみてもいつも同じ場所が減っていました(笑)

革の靴は硬いけれど、いつもの曲げる部分でそこから割れてきたり、
シワの凹み部分はツヤもそのままだったり。
足首の角度もクセがあるのか、曲げやすい角度の革は柔らかくなったり。

ヨレッとした感じ、革のブーツを新しく買ったときの最初の目標です(^^)


> あ、孫ができるのは10年以上先だろうと予測してます

良かった(笑) 10年かけて腕を磨いておきます(笑)

> 息子(長男)に買ってあげた革靴も
> メモリーBOX に入れて、色んなモノと一緒に保管してます

大きくなってからそれを見たら、さぞ興味津々になるでしょうね(^^)
それに大事にきれいにとっておいてくれた愛情もじわ~っと。

きっとお孫さんにも(まだですが)同じようにしてあげたい、と思うはずです。
クランベリーソースさんは良いお母さんですね!

オニにたくさん笑ってもらいましょう(^^)

2010.09.22 10:47
ea
イプシロンさん 靴や鞄の痛み具合。
いろいろあったんだ、っていうのが見える形になって、
私もそうした表情のあるものに惹かれます(^^)。

> 汚れや痛みにも表情があって
> 観察すると面白いんですよね。
> 汚れ=年輪みたいな。

そうですこれです(^^) イプシロンさん良い比喩です。ぴったりです。
年輪なんですね、持ち主と一緒に年をとる。

これは素敵なことだと思います。
新しいものが古くなってきて、古くならないと見せれない美しさが現れます。
それはずっと昔から存在しているからついてくる魅力なんですね。


> そういうエアさんの深い観察眼が読み取れます^^

分かっているようで分かっていない、ということ、結構あります(;^^)
今回の古びた質感・色合い、革のくたびれた風合い・・・
知っているはずなのに、ちゃんと見ていないことって多い、と気付かされます(笑)

以前は革の長靴を二つ持っていたのですが、補修不可まで履き潰してしまったので
この前の片付けのときに泣く泣く処分しました。
どちらも靴底の交換が出来ないくらい何もなくなってしまって、本体も傷だらけでした。

その長靴を思い出して、「あぁ、いつもここが割れていたな」とか
そうやって作業してみました(^^)



> なんというか、読書感想文を書くのに困る深さがある気がしました(笑)

そんなすごく深いこともないのですよ(^^)
私の説明が上手じゃないだけで(笑)

翻訳者の説明では、ファウストに比べてメルヘン、だそうです。
ファウストは、メフィストの悪魔力が主体で、壮大な感じが全体にありますが、
この話は悪魔力は控えめです。ペーターさんの意識や日々が主体なんです。

だからファウストの世界観に比べて、こちらは人間味が満ちている身近な感じです。

終わり方も「うぇ~」っていうファウストの劇的な感覚に対して、
「ペーターさん、良かった良かった・・・」という感覚(^^)


何処かで見つけたら、読んでみても損はないお話です(^^)

2010.09.22 10:31
クランベリーソース
靴… 古くなると、靴底が一部分減っていて
人によって歩き方が違うから
減る場所も違ったりするんですよね(笑)
そうそう、シワも入りますね!
ちょっとヨレっとした感じ…
自分の、古くなったブーツみたいです

あ、孫ができるのは10年以上先だろうと予測してます
可愛いブーティー作ったんですね ♪
私も、旦那が赤ちゃんの時にはいた革の靴
保管してあるんですよ!小さくて可愛いんです
いつか、写真に撮ってブログにUPしちゃうかも~
息子(長男)に買ってあげた革靴も
メモリーBOX に入れて、色んなモノと一緒に保管してます
いつか、息子に赤ちゃんができたら渡してあげるつもり☆
果たして、どうなることやら?
鬼に笑われちゃいそうです(^^;

2010.09.22 10:21
イプシロン
いい感じの風合いになりましたね!

汚れたり痛む、ってあんまり現代人は好まない傾向あるのかもしれませんけど、
私は少しくらい汚れや痛みがあるほうが好きです。

汚れや痛みにも表情があって
観察すると面白いんですよね。
汚れ=年輪みたいな。

この長靴から、
そういうエアさんの深い観察眼が読み取れます^^
素敵☆


ペーターさんのお話、これも深みがありますねぇ。
いろいろ考えさせられました!

影(ダークサイド)があるのが普通。
そういうことなんでしょうね。
あ、ちなみに私はダークサイドだらけです(笑)

なんというか、読書感想文を書くのに困る深さがある気がしました(笑)
2010.09.22 09:27

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ea

Author:ea
EA/ 絵描き・端革細工作者

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事

カテゴリ

HP・端革細工の回廊

Gremz

クリック募金

National Geographic

天気予報

天気時計

Amazon

日本語→英語

最新コメント

RSSリンクの表示

リンク

検索フォーム

月別アーカイブ

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。